大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

新潟地方裁判所 昭和55年(わ)277号 判決 1981年3月17日

裁判所書記官

勝又正春

本店の所在地

新潟市上所島二〇三番地

被告法人

新潟クレーン株式会社

代表者代表取締役

古江光芳

本籍

同市女池西一丁目六三二番地九

会社役員

古江光芳

昭和一一年一二月二八日生

右被告人らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官泉川健一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人新潟クレーン株式会社を罰金一、二〇〇万円に、被告人古江光芳を懲役一年に処する。

被告人古江光芳に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、本店を新潟市上所島二〇三番地に置き、建設用機械並びに大型特殊自動車の賃貸等を事業目的とする株式会社、被告人古江光芳は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人古江は、被告会社の右業務に関し、その法人税を免れようと企て、同会社取締役経理部長宮倉昭治と共謀のうえ、売上げの一部を除外し、架空経費を計上して簿外預貯金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五二年八月三一日、同市営所通二番町六九二番地の五新潟税務署において、同税務署長に対し、同五一年七月一日から同五二年六月三〇日までの事業年度の法人税確定申告書を提出するに際し、被告会社の実際所得金額が四三、五五〇、五二五円で、これに対する正規の法人税額が一六、五六五、八〇〇円であるのにかかわらず、所得金額が九、六五七、二二三円で、これに対する法人税額が三、〇〇八、六〇〇円である旨虚偽の記載をなした法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同社の右事業年度における正規の法人税額との差額一三、五五七、二〇〇円を免れ

第二  同五三年八月三一日、前記新潟税務署において、同税務署長に対し、同五二年七月一日から同五三年六月三〇日までの事業年度の法人税確定申告書を提出するに際し、被告会社の実際所得金額が五四、九四八、一五三円で、これに対する正規の法人税額が二一、一一三、五〇〇円であるのにかかわらず、所得金額が九、九二五、八〇二円で、これに対する法人税額が三、一〇四、三〇〇円である旨虚偽の記載をなした法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同社の右事業年度における正規の法人税額との差額一八、〇〇九、二〇〇円を免れ

第三  同五四年八月三一日、前記新潟税務署において、同税務署長に対し、同五三年七月一日から同五四年六月三〇日までの事業年度の法人税確定申告書を提出するに際し、被告会社の実際所得金額が七〇、一七五、八八八円で、これに対する正規の法人税額が二七、一七一、〇〇〇円であるのにかかわらず、所得金額が一〇、三一五、八四二円で、これに対する法人税額が三、二二七、〇〇〇円である旨虚偽の記載をなした法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同社の右事業年度における正規の法人税額との差額二三、九四四、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人古江光芳の当公判廷における供述

一  被告人古江光芳の検察官に対する供述調書

一  被告人古江光芳の大蔵事務官に対する質問てん末書五通

一  吉田和子、山田博、平山春夫(二通)、上田寛子(三通)、古江安敏、植木善朗、小林幸雄、高山大蔵の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  宮倉昭治、山田博、松井勇作成の答申書

一  上田寛子作成の上申書

一  大蔵事務官作成の売上除外金額調査書、傭車費調査書、修繕費調査書、燃料費調査書、消耗品費調査書、事務用品費調査書、交際接待費調査書、役員給料調査書、減価償却費および資産売却損益等調査書、雑収入調査書、事業税認定損調査書、簿外郵便貯金残高及び貯金利息調査書、簿外預金の残高及び受取利息調査書、仮払、未払税金調査書、未収入金調査書、受取手形調査書、貸付金調査書、未払金調査書、支払手形調査書、上田実子勘定調査書、個人収支調査書、脱税額計算書(三通)、熊本第一信用金庫本店調査関係書類、同金庫水前寺店調査関係書類、第四銀行沼垂支店調査関係書類、同行女池支店調査関係書類、新潟相互銀行内野店調査関係書類、

一  新潟財務事務所長、新潟税務署長(三通)、新潟市長作成の各証明書

一  登記官作成の登記簿騰本

(法令の適用)

罰条

第一ないし第三の各事実につき、

被告人古江については刑法六〇条、法人税法一五九条一項(懲役刑選択)

被告法人については法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪の処理

被告人古江につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に加重)

被告法人につき刑法四五条前段、四八条二項(第一ないし第三の各罰金額を合算)

執行猶予

被告人古江につき刑法二五条一項

(裁判官 富塚圭介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例